役所から『不許可』の通知が届いたら? 特定行政書士ができること

特定行政書士・土地家屋調査士の佐藤です。

許可や認可を得るために役所へ申請したものの、届いた通知には「不許可」の文字。

「どうして認められなかったのだろう?」

「この判断には納得できない」

「でも、役所を相手に何をすればいいのか分からない」

そんな場面で、行政に対する不服申立てについて一定の範囲で手続きを代理できるのが特定行政書士です。

行政書士なら誰でもできる業務ではありません。

では、普通の行政書士と特定行政書士では何が違うのでしょうか。

「特定行政書士」とは?

特定行政書士とは、所定の研修を修了し、考査に合格した行政書士のことです。

私自身も研修を受け、考査を受けました。

「考査」という名前だけを見ると、それほど難しくないように感じるかもしれません。

しかし、実際に受けた私の感想は、

「きちんと勉強しなければ、普通に落ちる」

というものでした。

行政法などについて改めて学ぶ必要があり、決して名前だけでもらえる資格ではありません。

なぜ、このような制度が作られたのでしょうか。

行政書士は「申請するところまで」だった

行政書士の代表的な仕事の一つに、官公署へ提出する書類の作成や、許認可申請の代理があります。

たとえば事業を始めるために必要な許可について、お客様から依頼を受けて書類を作成し、行政庁へ申請する。

ここまでは従来から行政書士が行ってきた仕事です。

ところが問題は、その申請に対して不許可などの処分が出た場合でした。

申請をお手伝いした行政書士が、

「なぜ、この結果になったのか」

「この処分に対して不服を申し立てたい」

という依頼人の思いを聞いても、その先の不服申立てについて代理できないという状況がありました。

そこで2014年の行政書士法改正によって制度が設けられ、一定の範囲で行政不服申立ての手続きを代理できるようになったのが特定行政書士です。

通知書のこんな文章を見たことはありませんか?

役所から届いた通知書に、

「この処分に不服がある場合は、○か月以内に審査請求をすることができます」

といった記載を見たことがある方もいるでしょう。

役所が行った処分だからといって、必ずしも「何もできない」というわけではありません。

法律で定められた手続きによって、その処分について改めて判断を求めることができる場合があります。

これが行政不服申立てです。

ただし、

「納得できないから、とにかく不服申立てをすればいい」

というものでもありません。

対象となる処分なのか、期限はいつまでなのか、どのような理由で不服を申し立てるのかなどを確認する必要があります。

特定行政書士なら何でも不服申立てができるわけではありません

ここは大切なところです。

特定行政書士になれば、あらゆる行政処分について不服申立てを代理できるわけではありません。

特定行政書士が代理できるのは、行政書士が作成した官公署提出書類に関する許認可等についての不服申立て手続きなど、法律で定められた範囲です。

案件によっては弁護士など、他の専門家へ相談した方が適切な場合もあります。

そのため当事務所でも、まず事情や通知書の内容を確認し、行政書士として対応できる案件なのかを判断することになります。

「不許可」で終わりとは限りません

役所から不許可などの通知が届くと、

「役所が決めたことだから仕方がない」

と思ってしまう方もいるかもしれません。

しかし、通知書の中に不服申立てについての記載があれば、その処分について法的な手続きが用意されている可能性があります。

もちろん、不服申立てをすれば必ず結果が変わるわけではありません。

それでも、

「なぜ、この処分になったのか」

「不服申立てができるケースなのか」

を確認することには意味があります。

そして、こうした行政手続きの入口でお客様を支援することも、特定行政書士の役割の一つです。

街の法律家として、行政との間をつなぐ

特定行政書士という名称だけを聞いても、一般の方には「普通の行政書士と何が違うの?」と思われるでしょう。

私自身、資格の名前を知ってもらうことよりも、

「役所から届いた通知に納得できないとき、相談できる専門家がいる」

ということを知っていただく方が大切だと考えています。

行政から届いた書類には、聞き慣れない言葉が並んでいることも少なくありません。

「これはどういう意味だろう?」

「何か手続きをしなければならないのだろうか?」

そんな疑問を抱えたときには、通知書をそのままにせず、一度内容を確認してみてください。

行政書士として対応できることであればお手伝いし、他の専門家が適切な案件であれば、その判断も含めてご案内する。

それもまた、街の法律家としての行政書士の仕事だと考えています。