ペットに遺産を残す方法について

こんにちは、佐藤栄一事務所 所長の佐藤です。
近年のペットブームで可愛がっていたペットに遺産を残したいとご希望のお話も聞かれる様になりました。

今や我が子同然に飼っておられる方も多いですね。
我が家にも妻の愛猫が5匹おり、妻は扶養家族だとのたまいます。

最近は亭主より愛情を注ぐ始末。。。

ペットには相続権が無い

結論から言うとそうなのです。
ペットがどんなに可愛くても、日本の法律の定義では家畜やペットは『物』なのです。

物には相続権がありません。
なので、『遺産相続』の対象にはならないのです。
いくら『遺言書』に遺産を譲ると書いても効力はありません。

遺産相続権を持つのは以下の通りになります。

相続権 第一位 配偶者及び子
相続権 第二位 父母
相続権 第三位 兄弟姉妹

例えば孫は相続人の『子』が存在している時には該当しないのです。
それでも孫に遺産を分けたい時などに『遺贈』という形をとります。
(代襲相続を除く)。

この『遺贈』がペットの場合にも適応できるのです。

ペットの場合は『条件付き遺贈』

タイトルの通りペットに遺産を残す場合は『条件付き遺贈』という形をとります。
では、条件付き遺贈とは?

簡単に言うと、可愛いペットの面倒を見るのを条件に財産を譲るというものです。
信頼できる人物に自分の死後、ペットの世話を頼む代わりに財産を譲る約束ですね。
たまにドラマでも聞かれると思います。

生涯独身で家族も無く、でも可愛いペットがいる方などがこの法律を使うことがあります。

条件付き遺贈には他にも『停止条件付き遺贈』とかもあるのですが、それは別の時に説明します。
ここではあくまでペットに財産を残す方法についての話になります。

条件付き遺贈のメリット

まあ、生前にこの取り決めをしておけばいざという時に安心できるでしょうから、自分がもしもの時の心配が無くなりますね。
心穏やかにストレスの無い生活はとても大切だと思います。

もしもの事を考えて、人は生命保険や医療保険に入るのですからペットを最後まで飼うという、飼い主の責務の現れにもなります。

自分が病に侵され、余り残された時間が無いなど最後まで飼えないと思ったら、自分の死後の準備も大切ですね。
どこかの山の奥に捨てるとか、もってのほかです。

寂しいとかで、ペットを欲しがる方もいるでしょう。
でも、今は『アイボ』とか最近ではAmazonEchoの『Alexa』など、かなり性能の良い人工知能ツールがその代役を担ってくれます。

我が家でも最近妻、がAlexaを使い始め、最初はガジェトに話かける事が恥ずかしいと感じましたが、慣れると意外と面白いものです。
使うほどに学習し、色々な事ができるものです。

ペットは生き物で飼い主を選べないのですから、人間のエゴを押し付けてはいけません。

新しい家族を迎える時は、看取る事まで飼う覚悟で迎えましょう。
寂しいからとか、単に『モフモフ』したいとかは人間のエゴです。

モフモフは精神安定ホルモンが分泌されるので、求める気持ちは分かりますが、人間は唯一理性を持つ生き物です。


お子さんが犬や猫を欲しがったら、餌を食べる事や糞尿の始末、そしてペットは十数年は生きる事を説明しましょう。

小学生で欲しがってもそのワンちゃんや猫ちゃんはその子が成人する年齢になってもなお、まだ生きている可能性が高いのです。

お迎えは慎重に。

条件付き遺贈のデメリット

条件付き遺贈のデメリットは、財産を一括で渡してしまう事ですね。
渡した相手が財産管理能力があれば良いのですが、人は変にお金も持つと散財してしまう生き物です。

気持ちが大きくなり、つい使い込んでしまい全部無くなってしまう事が起きないとも限りません。

遺贈する相手を決める時は慎重に。
あなたと同じ気持ちで残されたペットを愛してくれるとは限らないのですから。

あなたには家族でも遺贈する相手には『物』になってしまうのです。
出来ることなら、遺贈する事の無い様に最後まで面倒を見られる様にしましょう。

第三者とはあなとは考えが異なるものなのです。

まとめ

ペットに財産を残すには『相続』ではなく『条件付き遺贈』となる事、ご理解いただけましたか?

そして、安易には選択をしない事。

どうしてもやむにやまれぬ時にお考え下さいね。
ペットはあなたといる事が一番の幸せなのですから。
ペットにとって、あなたに代わる方は居ないのです。