【ワンコイン男現る】

土地境界の紛争はよくある事案。

どうしても、自分の地所は多くありたいのが人情。

しかし、私が入れた境界杭は嘘をつかない。

私は通称

「誤差ワンコインの男」とあだ名される。

私が測量した土地境界杭の位置の誤差の範囲を示す。

ワンコイン(500円玉)の大きさの範囲を超える事は許さない!

今日も、過去に測量した土地の境界での立会。

地主は自分の意見を一歩も譲らない。

しかし、気の弱い地主はどうしても押されてしまう。

しかし、図面に示した境界杭の位置はひとつ。

「まあまあ、ここの杭の位置につきましては過去に当事務所が測量しています。復元しましょう」

そう言い、地面を掘削する。

境界杭が姿を現す。

データ通りの位置である。

「境界の位置はここですね」

ポールで示す。

先ほどまで争っていた地主も、沈黙する瞬間。

強気な地主も流石にごり押しはできない。

後の仕事がはかどるものだ。